LTVとは、「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、日本語では「顧客生涯価値」ともいいます。顧客がサービスの利用や商品の初回購入開始から利用終了まで企業にもたらす利益(価値)の総額を指し、その収益の総額を算出するための指標になります。
昨今、様々な市場での競争の激化に伴う新規顧客獲得コストの高まりによって既存顧客とのつながりが重要視されるようになってきました。
その中で既存顧客とのつながりを測る指標としてLTVの注目が高まっています。
本記事では、LTVが注目される理由からLTV向上のポイントまで解説していきます。
目次
1. そもそもLTVとは
「LTV」という言葉は聞いたことがあるが、いまいち理解しきれていないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。ここではLTVについて詳しく解説していきます。
|LTVとは
LTVとは、「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、顧客がサービスの利用や商品の初回購入開始から利用終了まで企業にもたらす利益(価値)の総額を指し、その収益の総額を算出するための指標です。
継続してサービスの利用や商品の購入をしてくれた方が、顧客が企業にもたらす利益は大きくなるため、一回きりの利用や購入ではなく二回、三回と繰り返してくれる方がLTVは高くなります。そのため、LTVを大きくするには、顧客ロイヤリティを高めることが効果的です。
LTVは数値として計算することができるため、マーケティングにおいても指標として大きな役割を果たします。
|LTVの計算方法
LTVの計算方法として複数ありますが、主に以下の計算式で算出が可能です。
LTV=平均購入単価×収益率×平均購入回数×平均継続期間
例えば、平均購入単価が30,000円、収益率が50%の商品を年間5回購入し、それを5年継続した顧客が存在する場合は、LTVは375,000円(=30,000×0.5×5×5)となります。
より精度を上げてLTVを算出したい時は各セグメントやターゲットごとに算出する、費用を考慮する場合は新規顧客獲得費用や顧客維持費用を加味した計算式にするなど、目的や意図によって計算式や対象指標は多少変わってきます。
2. なぜLTVが注目されるのか
新規顧客の獲得が難しくなったことや顧客ロイヤリティ向上の重要性など様々な要因でLTVの注目が高まっています。
|新規顧客獲得競争の激化
日本の大きな社会問題として挙げられるのは、人口減少です。日本の人口が減少するということはそれだけ多くの業界で市場が小さくなることを意味します。少なくなってきている顧客を多くの企業が取りあう状況になってきており今まで以上に新規顧客獲得競争が上げしくなり、新規顧客獲得には多くのコストがかかります。実際、新規顧客を獲得していく広告の費用対効果は従来よりも著しく低下し、獲得率を高めるために異常な割引販売するなどの薄利多売戦略をせざるを得ないという状況になっています。
マーケティング用語の中に、「1:5の法則」という言葉があるように、新規顧客を獲得するためには、既存顧客との関係を保って同じ金額の収益を得る場合と比較すると、5倍の費用がかかるとも言われています。
こうした環境下から、既存顧客と長期的に良い関係を築くことで、1人の顧客から継続的に収益を獲得し、全体的な利益を向上させるべきという考えが生まれてきました。既存顧客とよりよい関係を築くことで顧客自身からの利益のみならず、既存顧客を起点に紹介などで商品やサービスの拡大も期待できます。
|顧客ロイヤリティの重要性向上
前述したとおり、新規顧客獲得はハードルが高くなっており、多くのコストを必要とすることが考えられます。
そこで、既存顧客とのつながりを重要視する傾向が強くなっており、ブランドや商品、サービスのファンやロイヤルカスタマーを増やす工夫が重要です。ファンやロイヤルカスタマーを増やすために必要なのが「顧客ロイヤリティ」です。
ロイヤリティとは、主には顧客がブランド・商品・サービスに対して好意を抱いている状態のことを示し、一般的に顧客ロイヤリティが高いほど企業や商品・サービスに対して愛着・好意を持ち、売り上げやリピート率向上に貢献します。
また、デジタルマーケティングツールの普及によって、「One to Oneマーケティング」と呼ばれる顧客ごとのパーソナライズされたマーケティングが可能になりました。One to Oneマーケティングでは、顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを行うため、顧客ロイヤリティの向上による継続的な関係構築が重要になります。
顧客ロイヤリティを活用したファンマーケティングについては下記の記事でもまとめていますので、もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
▶超重要!!ファンマーケティングとは?
|サブスクリプションの台頭
昨今、注目を集めているサービス形態の一つに「サブスクリプション」というものがあります。サブスクリプションとは、定額の料金を支払うことでサービスを契約期間中は利用することができるというサービス形態です。
サブスクリプションの大きな特徴は継続的な契約でサービスを提供し利益を得るというところにあります。サブスクリプションの契約者数が増えることで利益が大きくなることはもちろんですが、契約者の継続期間が長くなることで利益を上げることができます。そのため、一度契約に至った顧客を逃さないことが重要になります。
サブスクリプションで継続的に契約を続けてもらうために、LTVの向上は欠かせません。サブスクリプションというサービス形態が台頭してきたことでLTVの注目度も高まっているといえるでしょう。
3. LTVを向上させるポイント
先述した通り、LTVの計算方法は「LTV=平均購入単価×収益率×平均購入回数×平均継続期間」であるため、各項目を向上させることがLTVの向上につながります。
|顧客単価の向上
顧客一人当たりの単価が上がればLTVも向上します。具体的に顧客単価を上げる施策としては「商品・サービスの値上げ」「アップセル」「クロスセル」が挙げられます。
「商品・サービスの値上げ」とは、文字通り商品やサービス自体の値段を上げて顧客単価を上げる方法です。ブランドや商品、サービスへの愛着があり好意を抱いている人であれば、よほどの値上げでない限り、継続して購入してくれると考えられます。しかし、値上げは顧客にとっては喜ばしいことではなく、顧客が離れてしまうリスクがあります。そのため、価格だけでない商品やサービスの魅力を強くすることが大切です。リスクも伴うため値上げは優先度が低い施策といえるでしょう。
「アップセル」とは、ある商品やサービスを検討している顧客に対して、検討中の商品やサービスの上位商品やサービスの購入を勧めることです。商品やサービスに対する好意を抱いている方であれば上位商品やサービスを購入することもあるでしょうし、上位商品やサービスの購入につながれば顧客単価の向上につながります。
「クロスセル」とは、購入を検討している商品やサービスを単品で販売するのではなく、セットで販売を促す方法です。具体的な例では、ECサイトでよく見られるレコメンド広告です。関連する商品やサービスを勧めることでセットでの購入になれば顧客の単価は向上します。
|購入頻度の向上
購入頻度が向上はLTVの向上に直結します。
購入頻度を向上させるには顧客との継続的な関係を構築するためにコミュニケーションを定期的にとる必要があります。具体的な施策としては「メルマガ」や「SNS」などで情報発信を行うことが挙げられます。
新商品・新サービス情報や既存商品・サービスの改善情報などを発信することで顧客の購買意欲を挙げることができるでしょう。また、商品・サービスの強みやメリット、ブランドの魅力、企業としてのSDGsへの取り組みなど、ブランドのイメージを発信することで顧客により強い愛着を持ってもらうことが期待できます。
|継続期間の向上
1人の顧客が継続して購入してくれる期間が伸びるほど、LTVの向上につながります。
継続期間の向上では既存顧客に効果的なアプローチを行い、顧客ロイヤリティを高めることが重要です。具体的な施策としては、既存顧客に対する継続特典の提供や競合と差別化を図るブランドイメージの形成などが挙げられます。
また、ロイヤリティが高まり商品やサービスのファンとなっている顧客は、口コミを拡散し新規顧客の獲得につながることもあります。
|コストを抑える
コストを抑えて最適化することもLTVの向上につながります。
CAC(Customer Acquisition Cost)=顧客獲得費用や顧客維持費用のコストを抑えるためにSFA(Sales Force Automation)= 営業活動自動化やCRM(Customer Relationship Management)=顧客関係管理システムを活用して効率的な営業やマーケティングを行うことは効果的です。
また、コストを抑えるには商品自体の原価率を抑える方法もあります。コストを抑えることは出来ますが、コストを抑えることばかりに注力してしまい商品の質を落としてしまうと顧客が離れてしまいLTVの低下の原因になりかねません。原価率を抑える際は顧客満足度を下げないよう注意しましょう。
4. LTV向上による成功事例
|KIRIN Home Tap
キリンビールが提供するKIRIN Home Tapは毎月2回ビールが届くサブスクリプション型のサービスです。「つくりたての本格的なビールのおいしさ」を自宅に届けるといったサービスコンセプトで、特別な時間を演出しています。
自宅に届くという安心感とつくりたてという特別感から顧客を獲得していき、
顧客としてもおうちで本格的なビールを楽しむことができるというニーズがマッチしたことで、結果的に予約待ちが発生するほどの人気が出たという事例です。
【参考】KIRIN Home Tap
|Amazon
2005年から開始した顧客囲い込み施策のアマゾン・プライムという会員プログラムは
2020年第4四半期の決算発表では2億人を突破したと発表されました。
日本の小売業では従来「いかに来店数を増加させ、客単価を上げられるか」という考え方を持っていたのに対し、アマゾンはLTVを重視しました。
1回に¥10,000の購入額のAさんと1回¥1,000の購入額であるが購入を10回してくれるBさんがいたとします。
従来の日本の小売業の考え方ですとAさんの方が大切な顧客と考えますが、Amazonは逆でBさんの方が価値があると捉えます。
そこでAmazonは顧客が求める商品とサービスを揃いに揃え顧客のロイヤリティを高めていきました。
購入回数が多ければロイヤリティも高くなる。
結果的に顧客の囲い込みを成功したのがAmazonです。
5. LTV向上にも活用できるライブコマース
ECでの売り上げやLTVの限界を打破するために導入社数が増加しているのがライブコマースです。
ライブコマースとは、「ライブ配信」と「ECサイト」を掛け合わせて顧客へ商品を販売する手法のことを指します。
中国では3時間で億を超えるような事例もありますが、ライブコマースは使い方によって様々な意味を成すことができます。
例えば、前述したように顧客の購買体験の質を向上させるためにもライブコマースを活用することもできます。
ECの特性上、商品を画像やテキストのみでしか訴求することができず詳しい説明や商品の本来の価値を伝えることが難しいといえます。
そんな課題をライブコマースで解決することができます。
実際に商品の使用シーンを見せたり、ライブ配信の特性を生かして顧客からの質問をリアルタイムで解決することで、顧客の購入意欲を高めるほか質の高い購買体験を実現することができます。
ライブコマースでの購買体験を経て購入してくれた顧客は単にECで商品を購入する顧客に比べてロイヤリティが高くなることでしょう。
実際、商品の特性や顧客層によっても企画内容を変えていくことで、
より顧客に対して質の高い購買体験を提供しLTVを高めることができるでしょう。
ライブコマースについては下記の記事でもまとめていますので、もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
▶ライブコマースとは?メリットや導入検討の際に注意すべき点などを徹底解説
6. まとめ
今やLTVの向上はEC市場に限らず多くの業界で非常に大切な指標と言えます。
多様な商品、多様な情報が飛び交う今日だからこそ、顧客の価値を高め囲い込むことが大切です。
また、ライブコマースを活用することでLTVを高めることができます。
しかしながら、ただ単にライブコマースを始めてもなかなか成果は出ません。
株式会社The Unitが提供するライブコマースツール「ライコマ」は導入~企画立案、配信後の分析まで一気通貫してサポートいたします。
また、顧客価値を高めていくためには中長期的にライブコマースに取り組んでいく必要があります。
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