中国では、2017年頃から急激にライブコマース市場が伸び始め、昨今のコロナ禍の影響もあり、その伸びに拍車をかけています。実際に、大手のECプラットフォームの参入も相次ぎ、生活の一部になっているユーザーも多く見受けられます。
ライブコマースについての説明に関しては、下記ページを参照ください。
本記事では、中国のライブコマースの実情や今後の市場の動向などについて解説します。
目次
1. 中国のライブコマース市場
|2021年の市場規模は約34兆円に達する見込み
コロナ禍による巣篭もり需要、また家にいながらいつでも楽しみながらお買い物ができるというライブコマースの特徴もあり、中国の一般ユーザーに深く浸透しました。三井物産が発表した「拡大する中国のライブコマース市場」によると、2021年の中国のライブコマース市場は1兆9,950億元(約33兆9,150億円)に達する見込みで、今後もさらに拡大していくと言われています。
|1日の売り上げが3,000億円以上にも
中国では未婚者が集いパーティーを催す「独身の日」が11月11日に制定されており、同国の最大手ECアリババグループは独身の日に大型セールなどのキャンペーンを実施しています。
2019年の独身の日セールでは、タオバオで過去最高となる約200億人民元(日本円で約3044億円)の売上を達成しており、これはアリババグループ全体の売上高2684億人民元(日本円で約4兆1000億円)の役7.5%に相当します。
|市場を牽引するタオバオのライブコマース
中国では、アリババグループ傘下のオンラインモール型大手ECサイト「タオバオ淘宝、Taobao.com)」が中心なりライブコマース市場を広げています。
タオバオのライブコマースは大別して2種類に分けることができます。その一つが中国で「網紅(ワンホン)」と呼ばれるインフルエンサーが店舗に誘導するスタイル。もう一方が、
店舗主体のライブコマースです。
■インフルエンサー主体型ライブコマース
そもそもライブコマースが盛況となる背景に、中国では商品の信用度や安全性が高くないことが関係しています。このような状況下で、人気のあるインフルエンサーが紹介するものなら安心して購入できると考える人が多いことが、ライブコマースが中国で大きな盛り上がりを見せている大きな要因の一つです。カリスマインフルエンサー(KOL)として知られるAustinが5分間で1万5000本の口紅を販売するなど記録は次々と更新されており、インフルエンサーは消費者に非常に大きな影響を与えていると言えます。
■店舗主体型ライブコマース
こちらは商品を取り扱う店舗の従業員がライブ配信を行い、消費者をECサイトに誘導している点が特徴で、タオバオのライブコマース流通額の7割、配信回数の9割はこちらが占めています。
店舗自らが商品を販売するこちらの方法では、消費者に商品の魅力が伝わるように効果的なアピールを行うことが大切です。より多くの売上を得るために、ライブ配信に出演する人材の育成に力を入れたり、出演するスタッフの人材代行サービスを利用したりする店舗もあります。
2. 中国でライブコマースが盛り上がっている理由
|① 安く商品が手に入る
一般的に、ECでのお買い物は実店舗での販売やテレビショッピングに比べ、テナント代や中間流通費用などを安価に抑えることができるため、消費者からは安く商品が手に入りやすいです。また、ライブコマースの演出の一つとして、配信中限定のキャンペーンや値引きを行なっているケースも多くあります。中国消費者協会が発表した「ライブコマース消費者満足度オンラインアンケート調査」によると、コストが安いことに関わる理由でライブコマースを視聴しているユーザーが多いという結果が出ています。
|② インフルエンサー(KOL)が紹介しているという信頼感
前述の通り、中国では商品の信用度や安全性が高くなく、買ってみたら偽物だった、品質が低かったといったことも発生しています。通常のECでの買い物であれば、その商品の情報を調べ、買っても問題がないか吟味をする必要があるのですが、信頼しているKOLが紹介していることで、その手間が省け、購入が生まれやすいことも要因の一つです。
|③ エンターテインメント性
従来のECは画像やテキストでの表現がメインでしたが、映像としてライバーや店舗スタッフが持つ魅力やリアルタイム性の臨場感も相まって、ユーザーが楽しんでいるケースが多く見受けられます。ユーザーは、ライブ配信そのものを楽しみつつ、自然とその延長線で商品を購入する理想的な流れができています。
また、消費者からのチャットメッセージにリアルタイムに応える形で、消費者のリクエストを即時に実演しているケースも多く、消費者にとっては楽しい購買体験となっています。
3. 中国のライブコマース成功事例
|事例①:1回の配信で3.2億円も売り上げる『口紅王子』
ロレアルの元美容部員で、現在「淘宝直播(タオバオライブ)」で人気TOP10に入るKOL李佳琦(Austin)は、1回の淘宝ライブ配信で3億2,000万円(2,000万元)もの売上を収めることに成功しました。
美容部員時代の専門的な知識と販売スキルを活かしつつ、商品を褒めることもあれば、超有名ブランドさえも貶す中立的な立場で、本当におすすめの商品を紹介していくスタイルが視聴者にうけている。
|事例②:淘宝直播(タオバオライブ)の女王
淘宝直播(タオバオライブ)で人気No1のKOLとも言われる薇婭(viya)は、2016年にライブコマースをスタートしわずか4ヶ月で15億円もの売上を叩き出しました。2018年11月11日の独身の日には、51億円の売上をあげ、現在も成功を納めています。
4. まとめ
本記事ではライブコマース先進国とも呼ばれる中国のライブコマースについてお話ししていきました。
日本でもコロナ禍の長期化やECでの買い物の日常化などあらゆる角度からみてライブコマースへのニーズも高まると予想されています。
日本なりのライブコマースはどうすればいいのだろう、初めてでわからないことだらけなどなんでも、『ライコマ』にお問い合わせくださいませ。